落揚葉

タワゴト言う。

シン・シティ


シン・シティ スタンダード・エディション シン・シティ スタンダード・エディション
ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク 他 (2006/06/23)
ジェネオン エンタテインメント

この商品の詳細を見る

ヴィジュアルセンスが抜群ですねー。作品のスタイルとして、色彩構図形状動作が綺麗にまとまっている。方針はノワール?精神性は端的にストイック。(のフリして微妙にミーハー。)

モノクロを基調としながらところどころに"極彩色"が顔を出す。――ブロンドの髪。ドレスの赤。歪な黄の肌。緑の目。等等。限られた一部分の強烈な発色が、画を一つ一つ印象的なものに仕上げる。一方で、「赤」であるはずの流血が「クリーム色」に置き換わっているなど……押しと引きのバランス感覚が秀逸。そうした特徴は、場面場面の画の構図の取り方にも表れていて、車中の語らい、酒場の熱狂、牢獄の闇、白熱の戦闘シーン、それぞれの対比的な様を重視しながら、それぞれに相応しい雰囲気を切り取って見せてくれる。

シナリオは全編通してハードボイルド調。モノローグの語り口も同様。陳腐と言えば陳腐だし、嵌っていると言えば嵌っている。ややもすれば「滑稽」に陥りがちなこのテイスト、巧く扱っていたようには思う。
ただ…
この映画は、3つのエピソードが順列するという"オムニバス"的な構成を持っている。エピソード毎に主人公が入れ替わり、これによって(バライエティを出すというよりは)同じリズムが通底する一つの世界観を描き出す。苛烈な世界の表現と過酷な精神の表現。罪の街。…これが各篇全く無関係に展開するのでもなくて、微妙にニアミスしつつ(=登場人物の一部を共有する等)、交錯しないし収斂しない。
ここで思うのが、同じ街を舞台にして、接点まで持たせるのだったら、内容的にもより深く関連性を持たせてしまってよかったのでは?ということ。各篇の背後に同じ一つの大きな罪が隠れている、あるいは、バラバラな罪が一点に収束して、決着する――あるいは再び散開する――という構成をとってもよかった。


テーマ:★海外映画★ - ジャンル:映画

映画 | コメント:1 | トラックバック:0 |

【ユナイテッド93】


ユナイテッド93 ユナイテッド93
コリー・ジョンソン、タラ・ヒューゴ 他 (2006/11/30)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

この商品の詳細を見る

あの日犠牲になった4機のうち――
93便だけは目標に達することなく――
午前10時3分 ペンシルバニア州シャンクスヴィルに墜落
乗客乗員 全員が死亡した
軍の上層部が93便のハイジャックを知ったのは――
墜落して4分も経った後のことで――
一番近い戦闘機は現場から160キロの遠方にいた


2001年9月11日。同時多発テロの最中、ハイジャック犯に抵抗した乗客たちの記録。誰もが知っている結末に向けて全篇が緊迫する。

アメリカが――イスラムが――事件の背景には何がどうしたと言ったところで、実際に航空機の中にいた人たちが直面したのは、極限の危難、それだけ。結果として虚無に終わる事件もその過程には真摯な生と死がある。米国上空、数十分の間の懸命な生き様を誰かが称えるのは必要なことだったと思う。これは、911の犠牲者に捧げられる映画。

…だからといって過剰なヒューマニズムに傾倒することもなく、現に起こった出来事を事実的に並べていく製作の姿勢は見事。犯人らの性格を変に捻じ曲げて描くこともなく(彼らもまた懸命であるように描かれている)、これにより、現実の現実らしい驚異的な側面、苦しく惑乱する側面、儚く、勇敢な側面が浮き彫りになっている。

その上で、やはりこの映画を美的に感じるのは、そもそもの題材となっている出来事――人々/精神――の本質的な美しさに由来することと思う。


感想を述べる私のほうが、中途半端に美化してしまう。



テーマ:雑記 - ジャンル:本・雑誌

映画 | コメント:1 | トラックバック:0 |

【DIE HARD】(1988)


ダイ・ハード ダイ・ハード
ブルース・ウィリス (2007/06/16)
20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン

この商品の詳細を見る


 先日、ダイ・ハードを初めて見ましたー。
 名前ばかり聞いたことあって、中身はとんと知りませんでした。「英雄的な立派な人物が超つおい」っていう映画だと思っていたら、案外そうでもなくて良かった!

 「ダイ・ハード」というタイトルも、片仮名でしか見たことなかったから、出出しで

 DIE HARD

 というテロップが出てきたときはビビりました。
 超かっこいい!!

 ミーハービビリ。


 主人公はニューヨーク市警の警官。ロサンジェルスの日本企業で働く妻とは別居中。その企業のクリスマスパーティに招かれたことから、ロサンジェルスを訪れることになる。妻と久々の再会を果たした直後に、企業の高層ビルは得体の知れない連中に占拠されてしまう。ビルにいた人間は、主人公ただ一人を残してみな人質にされる。勿論、妻も。

 で、まぁ警官の彼が孤軍奮闘するのだけれども。序盤、「主人公がいかにして敵をやっつけるか」が焦点なのではなく、「主人公がいかにして警察を呼ぶか」に焦点をあてているのがミソ。敵の影に怯えながらビルの中を孤独にウロウロ。あの手この手で警察に連絡を取ろうとする。四苦八苦する。お前も警察だろというツッコミは不要です。

 主人公の善戦稔って事件が公けになった中盤、脈絡なく場面がテレビ局に移って、報道番組の人たちが中継車を出す出さない誰が取材に行く行かないで揉めてるのが良い。「僕のニュースだぞ。僕が行く」とか言う。どうでもいいよ。突然の速報に原稿が間に合わなくて、キャスターの喋りが凄い不自然。キャスターの機嫌みるみる悪くなる。本筋とてんで関係ない。

 終盤はもう敵味方内部外部分け隔てなく大わらわ。面白かったです。ちなみに、日本企業の高層ビルディングはスゲーボロボロになる。ナカトミ・コーポレーション。日本の企業だからまぁ壊滅的になっても悪くないという計算が美しい。ハリウッド。アメリカ。アメリカ人がアメリカンドリーム的に築き上げた成果がボロボロになるのは居心地悪いものね、アメリカ人としては。こういうのは、コツだと思います。


テーマ:雑記 - ジャンル:本・雑誌

映画 | コメント:0 | トラックバック:0 |

乙一監督作品『立体東京』(2007)



先日(というか過日というか、結構前のことですが)、
"乙桜学園祭"を観てきたので!!(以下、乙の方をレビュー!!)



『立体東京』
無言で、立体で、慎ましやかで、静的に抑えた美しさを仄かに漂わせる気持ちのよい作品でしたー。『Soft For Digging』というサイレント映画があって、それは一人侘しく暮らしている老人が家出した愛猫を探して近所の林をフラフラと歩く(うちにとんでもない事態に直面して戸惑う)映画なんだけど、精神性や編集や演出のセンスの点で通ずるものがあったかなぁー。人の内面が画全体へと綺麗に反影してくる感じ。

ところで、3D眼鏡という懐かしい小道具を装着して見る映画だったんですよ。ほら、あの赤と青のセロファンがついた紙メガネ! 両目でみると「立体的★」っていう趣向なんですけど、自分、3D眼鏡以前に普通の眼鏡を掛けている関係で、うまく楽しめませんでした。眼鏡の上から3D眼鏡を被せるようにして見なきゃいけないんだけど、眼とセロファンの間に少しでも距離ができるともううまく立体化しないのね。だから立体視は諦めて(セロファン眼鏡をポイして)青と赤が歪に混ざり合った素の画面を見てました。
・・・これが案外イケてた。物静かで少し曖昧な映画の世界観が更に揺らめいてあやふやで朧に。加重的に楽しめた感じがしたので、3Dの試みに乗っかれなかった私にとっても凄く面白い仕掛けだったわけです。

奥さんすんげーたくさん出てたけど、ほんと撮り方に心配りがあったと思う。あと、明け方五時頃と思しき渋谷はじつに馴染み深い。
上映後には監督によるトークショーがありました。上映期間中は毎日トークショーやるそうで、「毎日トークショーやるから"学園祭"なんです」という判然としない説明が司会の方からなされました。乙一さんを生で見るのはこれが二度目かな。喋りのほうも面白かったです。



桜についてはまた後日レビュー!!




テーマ:雑記 - ジャンル:本・雑誌

映画 | コメント:0 | トラックバック:0 |

『穴』(AFTER THE HOLE)/「藪の中」


穴
ソーラ・バーチ、デズモンド・ハリントン 他 (2002/12/18)
ポニーキャニオン

この商品の詳細を見る

『穴』(原題:THE HOLE / AFTER THE HOLE)2001年
[監督] ニック・ハム
[出演] ゾーラ・バーチ、デズモンド・ハリントン、ダニエル・ブロックルバンク、キーラ・ナイトレイ
[あらすじ] とある名門高校に通う学生が4名、忽然と姿を消した。警察、マスコミが騒然となる中、失踪より18日後にそのうちの1名が発見される。……女子高校生のリズは、疲弊しきった状態で見つかり、他の3人のクラスメイトは、薄暗い「穴」の奥底で死に絶えていた。一体何が「穴」の内部で起こったのか?そもそも何故、彼らはそんな場所にいたのか…。事件後("AFTER THE HOLE")、リズの口より語られる凄惨な"物語"。

米題『AFTER THE HOLE』が実に示唆的。
「穴から出た"後"に物語られる」というその"事後性"が、「穴で"何"が起きたのか」という"事件性"と上手に絡まり合ってサスペンスを形成する。直線的な事実描写ではなく、ある特定の人物に依拠する"供述"であるということ。そこに人間由来の恣意性が介在し、よって騙りの妙味が生じます。
(といってもプロット自体は単純なので、意外性はさほどありません。この映画は「思春期の感性と闇を画として描き出す」という目論見もあるようで、撮り方/描き方に直感的なアクセントを利かせています。そのことがプロットの単純さを要請していたとも言える。そして、そのことがこの映画に相応しい"後味"へと繋がっている……)
出演している俳優の中で一番有名なのは、キーラ・ナイトレイかな? 『ドミノ』で印象強かったけど、この映画でもやはり好演を見せている(『ドミノ』の四年前だね)。勿論、パイレーツ・オブ・カリビアンをご覧の方は、そちらでお目にかかっておられることでしょう。キーラ・ナイトレイは、役に沿った"雰囲気"を纏う。
主演のゾーラ・バーチ、何かで見たことあると思って調べてみたら、『ダンジョン&ドラゴン』くさい。そうか…。子役として有名だった人みたいです。こちらも良い演技。あと、男の子たちも良い。……撮った人が上手く撮ったのでしょうね〜。



ところで、"語り"による摩天楼と人の"性"。
といえば日本人的にはあの小説を想起する。
芥川龍之介『藪の中』(青空文庫所収
……というわけで発作的に再読したけれども、……。この小説については、何も語れない。……。……ぅぁぁぁぁ……。(沈黙)


芥川龍之介 芥川龍之介
芥川 龍之介 (1991/02)
筑摩書房
この商品の詳細を見る




テーマ:感想 - ジャンル:本・雑誌

映画 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| HOME |